SnowflakeSummit26 keynote Day1 要約

全体メッセージ
今回の基調講演の中心テーマは、「Agentic Enterprise(エージェント型企業)」への移行です。
Snowflakeは、AIを単なるチャットボットや分析補助ではなく、企業データ・AIモデル・業務アプリケーションをつなぎ、実際の業務アクションまで実行する存在として位置づけています。
そのための中核として、Snowflake Intelligence、Cortex、Cortex Code、そしてエージェントを統制するAgentic Control Planeが強調されました。
1. Agentic Enterpriseとは何か
Snowflakeが描く未来像は、AIエージェントが企業内で継続的に働き、意思決定や業務実行を支援する世界です。
その実現には、4つの要素が必要だと説明されました。

- 企業データ
顧客、財務、製品、業務、サプライチェーンなど、企業固有のデータ。
- AIモデル
Claude、Gemini、GPTなどのモデル。
ただし、モデル自体は競争優位ではなく、企業固有データと組み合わせて初めて価値を生む。
- 業務アプリケーション
Gmail、Outlook、SAP、Salesforce、Zoom、Slack、Microsoft 365など、日々の業務で使うアプリ。
- Agentic Control Plane
データ、モデル、アプリケーションを安全に連携させ、ガバナンス・権限・監査・人間の承認を管理する制御基盤。
特に重要なのは、AIエージェントを個別に立ち上げるだけでは不十分で、企業全体で整合性を持って動かすための制御レイヤーが必要だという点です。
2. Snowflake IntelligenceとCortexの位置づけ
Snowflake Intelligenceは、自然言語で企業データにアクセスし、分析だけでなくアプリケーション上のアクションまで実行するための仕組みとして紹介されました。
たとえば、以下のような業務が想定されています。
- 顧客離反の原因を調べる
- 会議内容を要約する
- Slackにメッセージを送る
- メールスレッドを検索する
- 営業会議の準備資料を作る
- リスクや次のアクションを提案する
ポイントは、AIが「答える」だけでなく、業務の流れの中で次の行動までつなげるということです。
3. Cortex Codeの強調点
Cortex Code、講演中では愛称のように「Coco」と呼ばれていた部分がありましたが、これは開発者・データエンジニア・アナリスト向けのAIコーディングエージェントとして紹介されました。
主な価値は以下です。
- データ移行の自動化
- パイプライン構築
- テーブル管理
- データ品質チェック
- ガバナンス設定
- データカタログ整備
- コスト監視
- アプリケーション構築
- テスト、デプロイ、最適化
印象的だったのは、「6か月かかっていた移行が6日になる」という表現です。
Snowflakeは、従来専門チームが必要だった作業を、自然言語ベースで短期間に進められる世界を打ち出しています。
4. データ基盤がAIの競争優位になる
講演では何度も、AIモデルそのものは差別化要因ではないと強調されました。
理由はシンプルで、競合他社も同じモデルを使えるからです。
本当の競争優位は、企業が持つ以下のような独自データにあります。
- 顧客データ
- 業務データ
- 製品データ
- パートナーデータ
- サプライチェーンデータ
- 社内ナレッジ
- 過去の判断や実績データ
ただし、これらのデータがサイロ化されているとAI活用は進みません。
そのためSnowflakeは、データを統合し、セキュリティ、ガバナンス、監査、コンプライアンスを備えた状態でAIに使えるようにすることを中核価値として訴求しています。
5. モデル選択の自由
AIモデルについては、Snowflakeが特定のモデルにロックインするのではなく、用途に応じて最適なモデルを選べることを強調していました。
たとえば、
- 高度な推論や探索にはフロンティアモデル
- 速度、コスト、カスタマイズ性を重視する場合はオープンソースモデル
- 業務や規制要件に応じてモデルを切り替える
という考え方です。
ここで重要なのは、データをモデル側へ移すのではなく、AIをデータの近くに持ってくるというSnowflakeのメッセージです。
6. MCPとアプリケーション連携
講演では、AIが業務アプリケーションと連携するためのプロトコルとしてMCPにも触れられました。
Slack、Gmail、Google Drive、Zoom、Jira、GitHub、Microsoft 365など、日常的に使うアプリケーションとAIをつなぐことで、AIが業務の中で実際にアクションを取れるようになるという文脈です。
ただし、企業では単につながればよいわけではありません。
- 誰が何にアクセスできるか
- どの操作をAIに許可するか
- 人間の承認をどこで挟むか
- 操作ログをどう監査するか
こうしたガバナンスまで含めて、Snowflakeが制御するという点が強調されました。
7. Accentureの事例
Accentureは、AI導入を「実験」ではなく、業務変革とP&Lへのインパクトに結びつけるべきだと話していました。
特に印象的だったポイントは以下です。
- AI活用はリーダー主導で進める必要がある
- リーダー自身がAIを理解し、使い方を説明できなければならない
- すべてのAIプロジェクトは売上増、コスト削減、業務効率化などの成果に紐づけるべき
- パイロットで終わらせず、企業の実際の業務運用に組み込むことが重要
Accenture側の発言では、「ビジネス成果への執着」が繰り返し強調されていました。
8. Sanofiの事例
Sanofiの事例では、製薬会社におけるAI活用が紹介されました。
背景として、Sanofiは大量のデータをSnowflakeに統合したものの、当初は多数のPower BIダッシュボードが存在するだけで、データの価値を十分に引き出せていなかったと説明されました。
そこから、Snowflake上でAIワークフローを構築し、以下のような領域に展開しているとのことです。
- 調達
- ITサポート
- HR、従業員サポート
- 営業支援
- 製薬業界特有の業務プロセス
特に営業担当者向けのデモでは、AI Conciergeが医師訪問前の情報をまとめ、会話の切り口を提案し、メールで送る流れが紹介されました。
これは、AIが単なる分析ではなく、現場担当者の意思決定と行動を直接支援する例としてわかりやすいものでした。
9. Anthropicとの対談
Anthropicの共同創業者との対談では、AIモデルの進化スピード、信頼性、安全性、企業導入のあり方がテーマでした。
主なポイントは以下です。
- 1年前と比べても、AIモデルの能力は大きく進化している
- 企業は「今できること」だけでなく、「1年後、2年後に可能になること」を見据えて設計すべき
- AI導入ではスピードだけでなく、安全性と信頼性が重要
- 信頼はブレーキではなく、企業がAIを早く広く使うための加速要因になる
- AIの急速な進化により、企業側も仕事の定義や組織のあり方を変える必要がある
特に印象的だったのは、「Trust is an accelerant(信頼は加速装置である)」という考え方です。
企業AIでは、安全性やガバナンスを後回しにするのではなく、むしろ最初から組み込むことで導入を加速できる、というメッセージでした。
10. 注目ポイントまとめ
今回のkeynoteで特に重要なのは、次の5点です。
1. SnowflakeはAI時代の「企業データ+エージェント基盤」を狙っている
単なるデータウェアハウスや分析基盤ではなく、企業のAIエージェントを動かす中核プラットフォームになることを目指しています。
2. 競争優位はAIモデルではなく、企業固有データにある
同じモデルを誰でも使える時代では、差別化要因は自社データ、業務文脈、ガバナンス、実行力になります。
3. AIは「回答」から「アクション」へ移行している
分析結果を出すだけでなく、Slack送信、メール作成、会議準備、ワークフロー実行など、業務アプリケーション上で行動するAIが主役になりつつあります。
4. ガバナンスがAI導入の前提条件になる
企業AIでは、セキュリティ、権限管理、監査、人間の承認、コンプライアンスが不可欠です。
Snowflakeはここを自社の強みとして前面に出しています。
5. 成功するAIプロジェクトはP&Lに直結する
Accentureのメッセージに象徴されるように、AI活用は「面白い実験」ではなく、売上増、コスト削減、業務効率化など、明確な成果に結びつける必要があります。
一言でまとめると
今回のSnowflake Summit keynoteは、Snowflakeが「企業データを安全にAIエージェントへつなぎ、業務アクションまで実行するための中核基盤」になるという宣言でした。
キーワードは、Agentic Enterprise、Snowflake Intelligence、Cortex、Cortex Code、ガバナンス、業務成果です。
公式の公開動画はこちらからどうぞ





