データビジュアライゼーションの色選び|見やすいグラフの作り方

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グラフの色、なんとなく選んでいませんか?

データ分析やレポート作成、ダッシュボード作成において、グラフの色を「見栄えがいいから」「会社のテーマカラーだから」「デフォルトで設定されていたから」という理由で選んでいないでしょうか。

しかし、データビジュアライゼーションにおける色は、単なる装飾ではありません。

色は、読み手がどこに注目するか、何を重要だと感じるか、データをどのように解釈するかに大きく影響します。つまり、色は「見た目を整えるもの」ではなく、データの読み取り方を左右する情報伝達の手段です。

今回は、グラフやダッシュボードを作るときに意識したい、色選びの基本を整理します。

目次[非表示]

  1. 1.色は情報を伝えるシグナル
  2. 2.データの種類に合わせて色を選ぶ
    1. 2.1.① カテゴリ型:種類を分ける色
    2. 2.2.② 順序型:数値の大きさを表す色
    3. 2.3.③ 発散型:基準からの差を表す色
  3. 3.色の数は増やしすぎない
  4. 4.避けたい色の使い方
    1. 4.1.虹色・レインボーカラーを安易に使わない
    2. 4.2.赤と緑だけで意味を伝えない
  5. 5.色だけに頼らない
  6. 6.TableauなどのBIツールで意識したいこと
  7. 7.色を選ぶ前のチェックリスト
  8. 8.まとめ
    1. 8.1.参考文献

色は情報を伝えるシグナル

人はグラフを見るとき、色の違いに自然と目が向きます。

たとえば、棒グラフの中で1本だけ赤くなっていれば、多くの人はそこに注目します。これは、色が人の注意を引きつける強い視覚的な手がかりだからです。

そのため、色を適切に使えば、読み手に重要なポイントをすばやく伝えることができます。一方で、色を使いすぎたり、意味のない色分けをしたりすると、かえって何を見ればよいのか分かりにくくなります。

大切なのは、色を「なんとなくきれいだから」ではなく、

何を伝えたいのか
どこに注目してほしいのか
どの違いを見分けてほしいのか

という目的から選ぶことです。

データの種類に合わせて色を選ぶ

色を使うときは、データの性質に合わせて配色を選ぶことが重要です。

代表的な考え方として、データの種類に応じた配色には、主に以下の3つがあります。

① カテゴリ型:種類を分ける色

カテゴリ型の配色は、地域別、商品カテゴリ別、部署別など、順番や大小関係のないデータに使います。

たとえば、地域別の売上や、商品カテゴリ別の構成比などです。

この場合、色の役割は「違いを見分けること」です。そのため、赤・青・緑・紫のように、色相の違いを使って分類します。

ただし、1つの色だけが極端に目立ちすぎると、読み手はその項目を「特に重要なもの」と感じてしまうことがあります。カテゴリを分けるだけであれば、明るさや鮮やかさのバランスが取れた色を使うことが大切です。

② 順序型:数値の大きさを表す色

順序型の配色は、売上額、人口密度、アクセス数、犯罪件数など、低い値から高い値へ連続的に変化するデータに使います。

この場合は、色相をたくさん変えるのではなく、同じ色の濃淡で表現するのが基本です。

たとえば、

薄い青=値が小さい
濃い青=値が大きい

というように、明るさの変化で数値の大小を表します。

数値の大きさを見せたい場面で、赤・青・緑・黄色のようにバラバラの色を使うと、どの色が大きい値を表しているのか分かりにくくなります。

③ 発散型:基準からの差を表す色

発散型の配色は、ゼロ、平均値、目標値など、重要な基準点があるデータに使います。

たとえば、前年比の増減、目標達成率、平均値との差などです。

このようなデータでは、基準点を中心にして、プラス方向とマイナス方向を別の色で表します。

たとえば、

マイナス方向=オレンジ
基準点=白や薄いグレー
プラス方向=青

のような配色です。

ポイントは、「基準より上か下か」を見せたいときに使うことです。単に数値の大小を見せたいだけなら順序型で十分ですが、基準との差を見せたい場合は発散型が適しています。

色の数は増やしすぎない

グラフでよくある失敗が、色数を増やしすぎることです。

多くのカテゴリをすべて別の色で表そうとすると、読み手は色の違いを覚えきれません。また、凡例とグラフを何度も見比べる必要があり、読む負担が大きくなります。

一般的なグラフや地図では、色で分類する数は多くても7色程度までに抑えると読みやすくなります。

カテゴリが多い場合は、すべてに色をつけるのではなく、重要なカテゴリだけ色をつけ、その他はグレーにまとめると効果的です。

色は、増やせば増やすほど分かりやすくなるわけではありません。むしろ、色数を絞ることで、伝えたいポイントが明確になります。

避けたい色の使い方

色は便利ですが、使い方を間違えるとデータの見え方を歪めてしまいます。特に注意したいのが、虹色のカラーマップと、赤・緑だけに頼った配色です。

虹色・レインボーカラーを安易に使わない

サーモグラフィのような虹色の配色は、一見するとカラフルで分かりやすそうに見えます。

しかし、虹色の配色では、一部の色だけが不自然に明るく目立つことがあります。その結果、本来はなだらかに変化しているデータが、急激に変化しているように見えてしまうことがあります。

数値の連続的な変化を見せたい場合は、虹色ではなく、明るさがなめらかに変化する配色を使う方が適しています。

赤と緑だけで意味を伝えない

ビジネス資料では、赤を「悪い」、緑を「良い」として使うことがあります。

たとえば、未達と達成、減少と増加などです。

しかし、赤と緑の組み合わせは、色覚多様性のある方にとって見分けにくい場合があります。特に、赤と緑の明るさが近い場合、色だけでは違いが分かりにくくなります。

そのため、赤と緑を完全に使ってはいけないというよりも、赤と緑だけで意味を伝えないことが重要です。

たとえば、増加には「▲」、減少には「▼」をつける。達成・未達は色だけで表すのではなく、テキストでも明記する。

このように、色に加えて記号や文字情報を組み合わせることで、色の違いが分かりにくい場合でも、内容を正しく読み取りやすくなります。

色だけに頼らない

分かりやすいグラフにするためには、色だけでなく、形・ラベル・線・記号を組み合わせることが大切です。

たとえば、折れ線グラフでは、色だけで線を分けるのではなく、実線と点線を使い分けたり、マーカーをつけたりすると見分けやすくなります。

また、凡例を見ないと意味が分からないグラフは、読み手に負担をかけます。重要なデータには、できるだけ直接ラベルをつけると、グラフの理解がスムーズになります。

さらに、背景色と文字色のコントラストも重要です。見た目がおしゃれでも、文字が読みにくければ情報は伝わりません。

色を選ぶときは、「きれいかどうか」だけでなく、「誰にでも読み取りやすいか」を確認することが大切です。

TableauなどのBIツールで意識したいこと

TableauなどのBIツールでダッシュボードを作る場合は、色の使い方が特に重要です。

ダッシュボードでは、複数のグラフや数値カード、フィルターが1つの画面に並びます。そのため、すべての要素に強い色を使うと、画面全体がごちゃごちゃしてしまいます。

基本は、グレーや落ち着いた色をベースにして、強調したいポイントだけに色を使うことです。

たとえば、

全体はグレー
注目してほしい地域だけ青
未達成の項目だけオレンジ
異常値だけ赤

というようにすると、読み手の視線を自然に誘導できます。

また、凡例のタイトルも分かりやすくしておくことが大切です。BIツールでは、凡例名がデフォルトのフィールド名のままになっていることがあります。

たとえば、「サブカテゴリ」だけではなく、「製品カテゴリ別」や「地域別」など、読み手が意味を理解しやすい表現に変えると、ダッシュボード全体が分かりやすくなります。

さらに、色だけで判断させるのではなく、リファレンスラインや注釈と組み合わせると、比較の意味が明確になります。

色は「注目させる役割」、線やラベルは「判断基準を示す役割」と考えると、設計しやすくなります。

色を選ぶ前のチェックリスト

グラフやダッシュボードで色を使う前に、次の点を確認してみましょう。

  • データの種類に合った配色になっているか

  • 強調したい部分だけに色を使えているか

  • 色だけでなく、ラベル・形・線・記号を組み合わせているか

  • 色覚多様性のある人にも見分けやすい配色になっているか

このチェックリストを使うだけでも、色の使い方はかなり改善できます。

まとめ

データビジュアライゼーションにおける色は、見た目を華やかにするためだけのものではありません。

色は、読み手の注意を引き、データの違いを伝え、重要なポイントを強調するための情報伝達の手段です。

一方で、色の使い方を間違えると、データを誤解させたり、一部の読み手にとって分かりにくいグラフになったりする可能性もあります。

色を正しく使えるようになると、グラフやダッシュボードの伝わりやすさは大きく変わります。

次にグラフの色を選ぶときは、ぜひ「なんとなく」ではなく、この色で読み手に何を伝えたいのかを考えてみてください。

それだけで、あなたのデータビジュアライゼーションは、より分かりやすく、実務で使えるものになるはずです。

この記事はData Saberコミュニティ活動の一環として執筆しました。

参考文献

・Tableau「Author Views for Accessibility」

・Colin Ware『Information Visualization: Perception for Design』

・Harrower and Brewer「ColorBrewer.org: An Online Tool for Selecting Colour Schemes for Maps」

・Crameri, Shephard and Heron「The misuse of colour in science communication」

Tsukuda
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