Session report: Japan Wrap up – Fireside Chat

こんにちは中村です。
SnowflakeSummit26から帰ってきましたが、最後にJapan Wrap UpでのSnowflakeファウンダー兼チーフアーキテクトのブノワ・ダージヴィル氏、Observe社CEOのジェレミー・バートン氏、ジャパンカントリーマネージャーの浮田竜路氏の対談についてまとめました。


浮田氏
それでは私から、ブノワさんとジェレミーさんに質問させていただきます。
まずブノワさんにお伺いします。
今年のサミットのテーマは「Making AI Real for Business」、つまりAIをビジネスの現実世界で機能させるということです。
Snowflakeはこれまでデータプラットフォームとして成長してきましたが、今まさにインテリジェンスプラットフォームへと進化しています。
この変革について、見解をお聞かせください。
ブノワ・ダージヴィル氏
ご質問ありがとうございます。
まずSnowflakeは、インテリジェンスプラットフォームとして非構造化データ(画像、ドキュメント、動画など)を取り込み、解析できるようになりました。
Cortex AIにおいてAIを活用し、データ処理を行っていくという形になります。
テクノロジーとしてはSQLとAIを組み合わせて、構造化データや非構造化データ上で処理を行い、感情分析(センチメント)からの情報抽出や要約(サマライズ)を行います。
次に検索機能です。
構造化データなどを処理する際に、自然言語を用いてクエリを発行するといった処理が可能になります。
インテリジェンスにおいては、AIエージェントがデータを理解することが重要です。
そのために、セマンティック(意味論的)レイヤーを用いて、データの文脈(コンテキスト)を感じ取り保存する「セマンティックビュー」という仕組みで解決を図ります。
これにより、他のシステムとの連携やビジネスプロセスのスキルをシステム内に組み込むことが可能になり、ビジネスプロセスをシステム化できます。
また、Cortex AIにおけるエンタープライズデータのAIインターフェースとしては、大きく2つあります。
1つ目は自然言語での対話インターフェースです。
自然言語で質問を投げかけると回答が返ってくる仕組みで、組織内で日常的にデータを活用できるようになります。
2つ目は、データプロダクトを作成するための機能です。
これは専門的な開発者だけでなく、テクノロジーをある程度理解している方であれば利用でき、非常に効果的です。
浮田氏
ありがとうございます。
続いてジェレミーさんに伺いたいと思います。
実は10年ほど前、私たちは同じ会社で働いていたことがあり、今回10年ぶりに一緒に働く機会を持てたことを非常に嬉しく思っています。
ジェレミーさんは長年、取締役として外側からSnowflakeという会社を見てこられたと思いますが、今回Observe社が買収され、今日は初めてSnowflakeのエグゼクティブとしてこのサミットに参加されています。
取締役という立場から、なぜ内部に入ろうと決断されたのでしょうか。
また、「オブザーバビリティ(可観測性)こそがAIプラットフォームに欠けていたピースだ」とお考えになる理由を教えてください。
ジェレミー・バートン氏
まず、創業初期の2015年頃からSnowflakeと関わることができたのは非常に幸運だったと思っています。
当時はこれほどSnowflakeが大成功を収めるとは全然思っていませんでした。
私はオラクル出身であり、創業者であるティエリー氏とブノワ氏の二人を知っていたので、非常に賢く優秀な彼らなら可能性があるとは感じていました。
そして2018年頃、Snowflakeが徐々に成長して成功の兆しが見えてきました。
その当時、私はEMCという会社におり、Dellに買収されるタイミングで退社することになっていたのですが、その時に「Snowflakeの基盤上で事業を展開できる会社で仕事をしたい」と強く思ったのです。
90年代に「オラクルショック」と呼ばれるものがありましたが、当時はまさに「Snowflakeショック」とも言える衝撃が起きていました。
ですので、Snowflakeの上にアプリケーションを構築すれば必ず成功すると思っていました。
そしてObserveという会社を立ち上げ、テレメトリーデータのインフラとしてスタートしたわけですが、2018年にスタートして製品の完成までには3年ほどの時間を要しました。
現在では、日常的に1日のクエリが3億件以上、ログのクエリが17兆件にのぼり、毎日膨大なデータをスキャンするようになっています。
AIの世界では、この「オブザーバビリティ(可観測性)」が非常に重要になってきます。
今後のAIは、何千、何百万というデータやLLMと連携し、データ量も非常に増えていきます。
互いにインタラクティブなやり取りをするため、システム内で何かが壊れた場合には、必ず誰かがそれを修正する必要が出てくるからです。
浮田氏
ありがとうございます。
続いてブノワさんに再度質問させていただきます。
Cortexエージェントはデータ検索や要約だけでなく、スキルを活用して売上予測やパイプラインの管理といったビジネスワークを実際に行うようになります。
AIが実際に仕事をするプラットフォームを設計する上で、何が必要だとお考えでしょうか。
ブノワ・ダージヴィル氏
1つ目に重要なのは、先ほども申し上げた「コンテキスト(文脈)」です。
人間がデータとやり取りする際、人間は頭の中でそのデータを理解していますが、人間同士でも共通理解が必要です。
AIがデータの意味やクエリの方法を正しく理解し把握することが重要になってきます。
AIが誤解を避けるためにも、AIに対して文脈をしっかりと提示していくことが非常に大切です。
AIがデータを理解し、処理プロセスを進める上でコンテキストは不可欠になります。
2つ目に重要なのは「ガバナンス」です。
エージェントがデータとやり取りをしてアクションを起こす際に、適切なガバナンスを効かせることが必要になってきます。
組織全体で社員全員がAIを活用するにあたっては、ガバナンスが最優先事項であり、最も重要な要素だと考えています。
プラットフォーム内でAIが各種ツールとインタラクションする際、どのツールやデータにアクセスできるのかをきちんと管理していくことが重要です。
そして最後に、Snowflakeにとって重要なのは、データとAIのインテグレーションにおいて「互いに必要とし合っている」という点です。
データにはAIが必要ですし、AIにはデータが必要です。
私たちは「AI+データクラウド」という別々の考え方ではなく、これらを一体のもの、「AIデータクラウド」という一つの概念として捉えています。
そこが非常に重要なポイントです。
浮田氏
ありがとうございます。
私もそのお話に感銘を受けました。
続いて、ジェレミーさんに質問したいと思います。
ジェレミーさんは創業CEOとして、複雑なインフラを可視化することに長年情熱を注いでこられました。
その経験が今のSnowflakeの「AIオブザーバビリティ」に大きく貢献していると思います。
企業がAIエージェントを本番環境に展開していく際に、「これだけは必ず監視・可視化しなければならない」というポイントは何でしょうか。
ジェレミー・バートン氏
AIエージェントを本番環境に持ち込む上で、いくつか重要なポイントがあります。
まず、LLMにクエリを出した際に、毎回同じ答えが返ってくるとは限らないという点です。
そのため、LLMから出力される回答がどのように変化しているか(ドリフトしているか)をしっかりと監視することが、AIエージェントにおいて非常に重要になります。
なぜAIのレスポンスがドリフトしているのか、その理由や原因を理解しなければなりません。
許容範囲の中で、LLMが自然言語として適切にレスポンスを返せるように管理していくことが、私たちの大きな役割となっています。
まとめ
今回のセッションでは、Snowflakeが従来のデータプラットフォームから、AIとデータを統合した「AI Data Cloud」へ進化している姿が語られました。
ブノワ氏は、AIエージェントが業務を担う時代には、データの文脈を理解するコンテキストと適切なガバナンスが不可欠であると強調。一方、ジェレミー氏は、AIを本番環境で運用する上で、LLMの出力変化(ドリフト)を監視するオブザーバビリティの重要性を訴えました。
AIを実際のビジネスで活用するためには、データ基盤・ガバナンス・運用監視を一体で考えることが重要であることが示された対談でした。





