こんにちは。エクスチュアインターン生の畝川(せがわ)です。
今回は“The Customer Experience Management Mandate”というテーマのブレークアウトセッションを解説します。
邦題にすると「顧客体験管理のいろは」という感じでしょうか。
IT専門調査会社であるIDCのAlan Webber氏によるセッションです。
データ会社のプレゼンなだけあってデータがたくさん出てきますが、このセッションのキーワードはWebber氏が語る”Empathetic Enterprise(共感的な企業)“。
顧客体験管理がうまい会社=Empathetic Enterpriseということのようです。
IDCのデータが示すトレンド、Empathetic Enterpriseが提供する顧客体験、そして企業がEmpatheticになるうえでの課題とは、どのようなものなのでしょうか。
データからの示唆
- 顧客は良い体験より悪い体験をシェアする
顧客体験は良し悪しを問わず口コミによって広まっていきます。
顧客は悪い体験を16人に伝える一方で、良い体験は9人しか伝えないそうです。まずは顧客を失望させない体験設計が大切といえるでしょう。
- 2020年、デジタルトランスフォーメーション(DX)に割かれる予算は1.4兆ドル
2020年、企業がデジタル・トランスフォーメーションに割く予算は1.4兆ドルにもなるとIDCは報告しています。
その中でも特に、顧客体験・マーケティング・セールスなど顧客関連部門のDXに重点が置かれていることがわかります。
- 広がり続けるテクノロジーの役割
2023年までに65%の消費者が音声、画像、AR(拡張現実)を利用してブランドにアクセスするようになり、
2025年までに先進的な消費者ブランドの60%が顧客エンゲージメントにおいて感情認識を利用するようになると予想しています。
Empathetic Enterpriseが提供する体験
IDCはEmpathetic Enterpriseの特徴を以下のように定義しています。
- 顧客の感情を正確に把握し、適切に対応している(認知的共感)
- 何を欲し、どのように扱われたいかという顧客のニーズに基づいている
- テクノロジーを駆使し、顧客の信頼を得ている
これだけ聞くといわゆるイケてる企業のお手本のようで実感がわきづらいですが、さらに具体的には画像のようなモデルになるとのこと。
Empathetic Enterpriseは
- 4つの場面(会話、探索、体験、満足)において
- テクノロジーを活用し(空気を読んだ対応、スムーズなエンゲージメント、顧客情報の収集、顧客の感情の測定)顧客中心の仕組みを作ることで
- 成果(予測可能なコミュニケーション、高いLTV、Applied Intelligence、双方向の信頼)を得ることができる=カスタマーロイヤリティを醸成することができる
というわけです。
課題
顧客体験管理に長けるEmpathetic Enterpriseになるためには、大きく三つの現実的課題があるといえるでしょう。
- 顧客中心的な組織への変革
顧客中心主義をマーケターだけではなく、全社的に浸透させることは、大企業であればあるほど困難になります。
- 経験をお金に変える仕組み
経験に投資する上で、リターンが保証できるかが、実際のビジネスにおいては重要です。
- データの統合
マルチチャネルでカスタマー・ジャーニーを管理するためには、組織に散在する顧客データを統合する必要があります。
Webber氏はこれらに付け加えて、クロスチャネルでの体験提供に正解はなく、ベスト・プラクティスを探求し続けなければいけない必要性を指摘しています。
おわりに
以上が、IDCのAlan Webber氏によるセッションのまとめになります。
Empathetic Enterpriseのモデルは、これまで文章と事例を中心に語られてきた昨今の顧客中心主義的企業を抽象的な概念図に落とし込んでおり、まさにデータ分析の会社のプレゼンという感じがしました。
最後まで目を通していただきありがとうございました。
参照元
https://www.adobe.com/jp/summit/2020/the-customer-experience-management-mandate.html
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=DR2020_GS4_AW
https://www.accenture.com/nl-en/blogs/insights/why-the-3-as-of-applied-intelligence-are-the-keys-to-your-digital-transformation