こんにちは、エクスチュアの権泳東(コン・ヨンドン)です。
Adobe Summit 2020レポートシリーズです。
今回は Ludicrous Speed! Advanced Techniques to Get the Most Out of Adobe Analytics というブレークアウトセッションを視聴しました。
Ludicrous Speed! Advanced Techniques to Get the Most Out of Adobe Analytics
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa01.png)
Ludicrous Speed!
AAマニア向けのヒント満載のセッションです。
なお、原題のLudicrous Speedというのは直訳すると「途方もない速度」という意味です。
どうやら高級電気自動車のテスラ「モデルS」ではLudicrous Speed Upgradeというオプションのソフトウェアバージョンアップを適用すると「ものすごいスピード」が出るそうです。
このセッションではどんな「ものすごい使い方」を見せてくれるのでしょうか。
1.ダイナミックコンバージョン指標
まずは各コンバージョンイベントを発生させたユーザーの訪問回数と訪問者数のレポートを集計する際に使えるワザです。
events変数を任意のリスト型prop変数にコピーしたものを計測して、SAINT分類で各イベントに分かりやすい名前をつけます。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa02.png)
events を propにコピーしてSAINT
続いて指標ビルダーを使って、「割合」の指標を作ります。
それぞれ、訪問回数÷訪問回数(総計)と、実訪問者数÷実訪問者数(総計)で作れます。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa03.png)
指標タイプを「総計」にする
そしてこれらをワークスペースで表示すると、CVイベント毎の訪問回数・訪問者数とそれらの割合が分かります。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa04.png)
ダイナミック指標
序の口な小技でした。
2.SAINT & Retroactivity
次はSAINT分類とDB Vistaを使った技です。
皆さんSAINT大好きですよね?
最近は単に「分類」って呼ぶそうですが。
で、SAINTには以下のような特性があります。
・各ディメンションデータのグループ化する
・eVarを節約するために、IDに対して属性情報やメタデータをSAINTで登録する
・過去データにさかのぼって属性変更を適用する
この特性を活かして、下記のようなディメンションとともに頻繁に使われます。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa07.png)
SAINTのユースケース
・キャンペーントラッキングコード(媒体・クリエイティブなど)
・サイト内リンクコード
・製品ID(製品名・ブランド名など)
・注文ID(詐欺・不正注文のフラグ)
・サイト内サーベイの回答結果
ただし残念な事に、SAINTは「過去データに遡って変更する」ため、ライフタイムバリューとは使いづらい特性があります。
たとえばある訪問者が5,000ドルのコンバージョンをしたとして、後日さらに2,000ドル追加でコンバージョンしたとします。
このとき累計購入額(LCV)として7,000ドルという値をSAINTしてしまうと、そのユーザーは過去のレポートでも7000ドルのLCVを持つユーザーとして分類されてしまいます。
つまり、以下のような「変動する属性」とは相性が悪いという事です。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa09.png)
SAINTに向かない例
・累計購入金額(LCV)
・年齢
・住所
などなど、変わる可能性があるものに対して使うのは止めましょう。
変動する属性情報をAAで上手く計測するならDB VISTAを使うのがオススメです。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa10.png)
Dynamic Metadata by DB VISTA
DB VISTAはAAにルックアップテーブルを持たせておいて、AAサーバー上でリアルタイムでルックアップしたデータを直接ディメンションに書き込むソリューションです。
ルックアップデータはタブ区切りテキストファイルで作成して、Adobeが指定するサーバーにFTP/SFTPでアップロードしてテーブルを更新出来ます。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa11.png)
DB VISTAでLCV計測
これならばLCVを計測しても過去に遡る事なくデータが反映されます。
他にもDB VISTAは以下のようなケースにおいて有効です。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa14.png)
DB VISTAのユースケース
・商品の原価
・商品の在庫状況
・天気・株価
などなど、変動する属性情報との相性はバッチリです。
なお、DB VISTAは管理画面からは設定できず、Adobe Engineering Servicesにおいてエンジニアによるプロフェッショナルサービス対応になるため都度見積もりが必要です。
しかしとても強力な機能である事は間違いありません。
3.Goals & Forecasts in Workspace
Adobe Workspace上で計画値(フォーキャスト)をインポートする裏技です。
というのもAAには「未来の数字」をインポートする方法がありませんので、ここでは発想の転換が必要です。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa15.png)
計画値のインポート
じゃどうするか?というと、「1年前の日付」を使ってフォーキャストの数字をDataSourcesでアップロードします。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa16.png)
「1年前の日付」にして計画値をUP
続いて「各月の最終日」かどうかを判定するためのセグメントを作ります。
30日か31日か、または閏年かどうかのチェックも入れます。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa17.png)
月の最終日を判定するセグメント
そして計算指標の累計関数を使って、先程のセグメントも使って1年前の数字を計画値として表示するための計算指標を作ります。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa18.png)
累計関数を使った計算指標
すると、このように1年前の日付でインポートしたフォーキャストが表示される、という裏技です。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa19.png)
未来の日付にフォーキャスト値を表示
さらに実際の数字とフォーキャスト値をひとつの指標に統一する計算指標の作り方も紹介してましたので、興味ある方はぜひ動画で見て下さい。
※動画の17分12秒あたり
4.Impressions & Clicks
最後のワザは、AA計測で厄介なインプレッション計測です。
一番簡単なインプレッション&クリック計測の実装はlist変数とevents変数を使う方法です。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa22.png)
list変数とevents変数でインプレッション
s.list変数にインプレッション計測するバナーや要素をリストで持たせて、インプレッションとクリックでそれぞれ別のevents変数を使えばOKです。
ただし、AAのs.list変数は3個までしか使えないとう、なんとも渋ちんな仕様です。
もっとリスト変数を使ってインプレッション&クリックを計測したい、という方にはproducts変数とマーチャンダイズeVarを使いましょう。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa23.png)
products変数とマーチャンダイズeVarを使う
s.products変数ならばマーチャンダイズeVarだけではなく、イベントインクリメンタを使ってevents変数も同時に渡せます。
また、複数のeVarも同時にマーチャンダイズeVarとして利用出来ます。
というわけでさらに応用すると、掲載ポジションやカテゴリなどのメタ情報を同時にインプレッション計測出来てしまいます。
![](http://ex-ture.com/blog/wp-content/uploads/2020/04/aa24.png)
複数の属性もマーチャンダイズeVarで同時計測
上記のように、マーチャンダイズeVarなら空いてるeVarの数だけ使えます。
「うちのサイトに製品ないんだけど」という方は、ダミーの製品IDを使えばいいですね。
サイト内バナーのインプレッション計測にも流用可能です。
下記の例では banner というダミーIDを使ってます。
s.events = 'event11; //インプレッション s.products = ';banner;;;event11=1;evar22=バナーA,;banner;;;event11=1;evar22=バナーB'
製品レポートを表示する時はセグメントでフィルタしてしまえば良い。
s.listの3個制限を回避するための、これまた強力で有効なワザでした。
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