こんにちは、エクスチュアの鈴木です。
今回はWebサイトを「監査」するとはどういうことか、そしてそのメリットについてお伝えします。
そもそもWebサイトを「監査」するとはどういうことか?
おそらくみなさんが「Webサイトの監査」と聞いて思い浮かべるものは、「SEOの最適化」ではないでしょうか?
Webサイトをクロールしてパフォーマンスや信頼性について確認することは検索エンジンの最適化にとって重要ですが、あくまで検索エンジン最適化という観点はWebサイト監査の一部に過ぎません。
Webサイト監査とは、サイトの使いやすさ(ユーザービリティ)や測定可能性、プライバシー、見つけやすさを監査することです。
- ユーザビリティ
- 測定可能性
- プライバシー
- 見つけやすさ
上のリストで一番最後に「見つけやすさ」が来ることに違和感を覚えている方は、きっとSEO監査ツールを探してこの記事にたどり着いたのでしょう。
でも、がっかりしないでください!
Webサイト監査はヘッダータグやメタディスクリプションを探すだけのSEOのための監査にとどまらず、Webサイト全体をユーザーにとってもっと快適に、より良いものにしてくれるものなのです。
この根拠は、Webサイト監査の各目的を掘り下げていけば、すぐにご理解いただけるでしょう。
ユーザビリティ
使い勝手の悪いサイトは良いサイトとは言えません。さらに、サイト訪問者がそのサイトを利用することができなければ、訪問者はあっという間にサイトから立ち去ってしまうでしょう。
サイトのユーザビリティが損なわれる主な原因としては、以下のようなものがあります。
- ページの破損や欠落
- 壊れたユーザーパス(チェックアウトページが読み込まれないなど)
- 壊れたJavascriptまたはマーケティングテクノロジー(サイト上のテクノロジーが読み込まれないなど)
これらの問題のいずれかが、サイトのユーザビリティに悪影響を及ぼしている可能性があります。
また、訪問者のユーザビリティだけでなく、サイトに重大な技術的要素の欠陥があると、多くの費用や注目を集めるリスクも高まります。
例えば、メディア企業であれば広告配信のテクノロジーがダウンしたらどうなるでしょうか?あるいはソーシャルメディアに大きく依存している会社で、ソーシャルボタンが読み込まれないとしたら?
考えただけでもゾッとしますよね。
もし、定期的なWebサイト監査でこのようなユーザビリティに関するエラーを発見することができれば、せっかくWebサイトを訪問してくれたユーザーをがっかりさせずに済むことでしょう。
測定可能性
測定可能性とは、サイト上でユーザーの行動を正確に測定する能力を指します。より明確に言えば、ウェブ解析がこれに当てはまります。
ウェブ解析は、進化し続けるデジタル依存の世界において非常に重要です。あなたのクライアントは、対面でやり取りする前に実はデジタル上であなたと関わっている可能性が高いです。ウェブ解析を使ってユーザーの行動を計測することで、より深くクライアントについて理解し、そのデータに基づいて意思決定を行うことができます。
ウェブ解析データに基づく意思決定は非常に重要であるため、データの質を徹底的に守る必要があります。しかし、サイトの複雑化や以下のような技術的問題の結果、データの質が低下してしまう可能性があります。
- データの膨張(アナリティクスのトラッキングコードがページに重複して設置され、データが2倍になっているなど)
- データの消失(ページにアナリティクスのトラッキングコードが設置されておらず、データが計測できていないなど)
これらは氷山の一角に過ぎず、堅牢且つエンタープライズグレードのアナリティクスソリューションを使用している企業は、さらに複雑な課題に直面しています。(例えば、カスタム変数のライブラリの管理など)
Webサイト監査ツールは、ウェブ解析戦略を完璧に補完し、アナリティクスタグと設定している変数が常に正確且つ実用的なデータを収集していることを確認してくれます。これにより、高品質なデータに基づいて自信を持って意思決定を行うことができるようになります。
プライバシー
サイトのプライバシーは、Webサイトのデータ戦略において以下の理由からとても重要な要素であると言えます。
- 消費者は個人データの保護を重視している
- データプライバシー規制当局は、データプライバシー件の侵害に対して罰金を科すことができる
EU一般データ保護規則(GDPR:General Data Protection Regulation)が2018年5月に施行され、他にも2020年にはカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act)が、日本でも2022年に改正個人情報保護法、2023年には改正電気通信事業法が施行されました。
これらにより、消費者データを確実に保護することが今まで以上に重要になっていることは明らかです。Webサイト監査は、その一助となります。
Webサイトが直面する可能性のあるデータプライバシーの脅威には、以下のようなものがあります。
不正なピギーバッキングタグ
ピギーバッキングタグとは、サイトに直接実装しておらず、別の実装しているタグによって呼び出されるテクノロジーを指します。これらのタグは無害かもしれないですし、そうでないかもしれません。
個人データの不適切な使用
消費者データを安全でない方法で送信したり、無許可で送信したり、あるいは単に不誠実な方法で送信したりすると、大変なトラブルに巻き込まれる可能性があります。消費者のデータを危険にさらしている場合、データプライバシー規制当局から罰則を科されることにもなります。Webサイト監査ツールは個人を特定できる情報(PII)のパターンを認識し、データプライバシー侵害を警告してくれます。
機能不全のセキュリティタグ
セキュリティタグは他のタグ同様、セキュリティベンダー(McAfee SECUREタグなど)からサイトにインストールする小さなコードです。これらのタグは、フィッシングやその他の悪意ある攻撃からサイトを保護するのに役立ちます。何らかの理由でこれらのタグが機能しなくなってしまった場合、できるだけ早く検知したいと思うのは当然です。
堅牢なWebサイト監査ツールは、これらのタグがいつ、どこで機能しなくなってしまったかを示してくれるため、Webサイトのプライバシーを常に把握することができます。
見つけやすさ
SEO監査ツールを探す中でこの記事にたどり着いたそこのあなた、検索エンジンは多くの企業にとって巨大な獲得チャネルですから、Webサイトが検索エンジンに最適化されていることを確認することはとても重要ですよね?なんせ、Googleの1日の検索回数はおよそ35億回とも言われていますから。
Webサイト監査ツールでは、特に以下のページ属性を調べることでSEOにおけるベストプラクティスをチェックします。
- ヘッダータグ(欠落や重複の有無、70文字以上になっていないか、異なる複数のタグが設置されていないかなど)
- ファイルサイズ
- ページのロード時間
- メタディスクリプション
- アンカーテキスト …など
Webサイト監査ツールを使うことで、大量のページを分析し、検索エンジン最適化の原則に照らして現状のサイトがどのような状態にあるかを簡単に確認することが可能です。
ここまで読んでくださったみなさんであれば、Webサイト監査が単にSEOのための監査にとどまらないことは十分ご理解いただけたことと思います。
そう、あなたの使命はもっと大きいのです!
ですから、WebサイトSEOチェッカーを見つけることが現在あなたの最優先事項であったとしても、そこで立ち止まってはいけません。サイト監査でSEOをテストするだけでなく、サイトのユーザビリティや測定可能性、プライバシー、見つけやすさもぜひテストしてみましょう。
サイト監査ツールの選び方
Webサイト監査の最適な規模と範囲は、Webサイト設計の成熟度やサイズ、タグ付けアーキテクチャによって異なります。Webサイトの規模が比較的小さく、サイトの歴史も浅い場合は、セキュリティよりも見つけやすさが、測定可能性よりもユーザビリティが重視されることもあります。一方が他方よりも重要というわけではありませんが、優先順位とは状況に応じて変化するものです。
ここでは、Webサイト監査ツールの選択肢としていくつかのソリューションを紹介させていただきます。
ObservePoint
ObservePointのウェブガバナンス・プラットフォームは、高度なカスタマイズ性を備えたフルレンジのWebサイト監査機能を提供します。アナリティクス変数の完全なライブラリを備えた大規模なWebサイトの監査に関心のある大企業にとって、ObservePointのスキャン機能はそのニーズを満たすことが可能です。
ObservePointで監査できるもの
- ユーザビリティ:◯
- 測定可能性:◯
- プライバシー:◯
- 見つけやすさ:◯
主な機能
- カスタムWebサイト監査:ページ上でスクリプトを実行し、機能性とSEOをテストします。
- タグ監査:各ページでアナリティクスやマーケティングタグが存在し、且つ機能していることをテストします。
- Webサイト監視:自動テストを任意の頻度で実行し、ユーザビリティをチェックします。
- ルールエンジン:Webサイトに対して実行するテストのルールを定義し、パフォーマンスを保証します。
- サイト監査レポート:ページに実装されているタグの有無やデータの品質をスコアで表示します。
- プライバシー検証:同意管理プラットフォームがWebサイト全体で同意を尊重していることを確認します。
制限事項
ObservePointを最大限活用するには、正規表現やJavascript、Webサイトアーキテクチャの知識が必要です。また、Webサイト全体のすべてのページやタグ、Cookieを常に監視していることを確認するため、定期的且つ網羅的なスキャンが必要となります。
Screaming Flog
Screaming Flogは、一部のトップ企業がSEOのテストに使用しているWebクローラーです。このツールは、壊れたページを特定することでWebサイトのユーザビリティをテストすることにも役立ちます。
Screaming Flogで監査できるもの
- ユーザビリティ:◯
- 測定可能性:△
- プライバシー:✕
- 見つけやすさ:◯
主な機能
- リンク切れの検索
- ページタイトルとメタデータの分析
- カスタムソースコードの検索
- リダイレクトや内部リンク、プロトコル、サイトアーキテクチャなどの技術的なSEOの監査情報提供
制限事項
Screaming Flogはカスタムソースコードを特定できますが、そのコードが何を表しているかまでは自動的に認識してはくれません。そのため、Screaming Flogはアナリティクスやマーケティングタグのテストに最適なツールとは言えません。さらに、データプライバシーをテストする機能もありません。
SEOptimer
数ページのみチェックするシンプルなものをお探しなら、SEOptimerが良い選択肢となるでしょう。知りたいページのURLを入力するだけで、そのページを改善する方法についての推奨事項を含む簡単なレポートを得ることができます。
SEOptimerで監査できるもの
- ユーザビリティ:◯
- 測定可能性:△
- プライバシー:△
- 見つけやすさ:◯
主な機能
- サイトのユーザビリティ/パフォーマンスに関するクイックレポート
- サイトにアナリティクスツールがインストールされているかの確認
制限事項
SEOptimerには、ObservePointやScreaming Flogのような大規模なクロール機能はありません。複数のページをテストするにはURLのリストを作成する必要があり、ページが多くなるほど手間がかかります。数ページのみ素早く確認したい場合は、SEOptimerのクイックレポートが便利です。
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ObservePointを実際にお客様のWebサイトでお試しいただくことができます。
下記の内容を observepoint@ex-ture.jp 宛メールにてお知らせください。 折返し弊社よりトライアルについてご連絡させていただきます。
・御社名
・ご担当者名
・ご連絡先メールアドレス
・対象WebサイトURL
※ トライアルはお客様が直接運営管理されているWebサイトのみ可能です
エクスチュアはObservePointの日本におけるテクノロジーパートナーです。
Webサイトのタグ周りでお困り事があれば、お気軽にメールまたはお問い合わせよりご連絡ください。
ObservePoint日本語サイト
(本記事はObservePoint社が公開しているWhat Is a Website Audit? It’s for More than SEOを加筆・翻訳したものです。)