こんにちは。エクスチュアインターン生の畝川(せがわ)です。
今回は”5 Marketing Trends That Will Impact Business Most In 2020—and Beyond”というテーマのブレークアウトセッションを解説します。
邦題にすると「ビジネスに影響を与える5つのマーケティングトレンド-2020年とそれから-」という感じでしょうか。
AdobeのVice PresidentであるJohn Copeland氏と、AIによるコピーライティングを提供しているPersado社の社長であるJason Heller氏によるセッションです。
5つから6つになったトレンド
「5つのトレンド」と題されていましたが、昨今の情勢で1.が増え、
- Maintaining brand purpose while building resilience(変化に対応しながら、ブランド・パーパスを維持する)
- A New Era for Integrated Data(統合されたデータ)
- AI-Augmented Content(AIにサポートされたコンテンツ)
- Companies Begin to Climb Digital Maturity Curve(「デジタル成長曲線」を上りはじめた企業)
- Continued Adoption of Agile Marketing(アジャイルマーケティングは引き続き広がる)
- Marketing Becomes a Catalyst for Companywide Digital Transformation(マーケティングが企業のデジタルトランスフォーメーションを進める役割を果たす)
この6つになったようです。
トレンド1:変化に対応しながら、ブランド・パーパスを維持する
ブランド・パーパスとは、ブランドの存在意義と訳されることもあるマーケティングの用語です。
世界中で人々のライフスタイルが半ば強制的に急速に変わりつつある今日、企業の明暗は顧客のニーズを理解し、柔軟に素早く対応できるかどうかにかかっています。人と人との接触を避けなければいけない状態では、顧客体験やメッセージングの重要性は増すばかりですし、プライシングやサービスの提供形態の見直しが必要でしょう。
このトレンドにうまく乗れている企業(群)として、月々のデータ容量を増枠している通信各社や、ソーシャル機能を充実させたNetflixなどが例示されていました。それぞれが自らのブランドの存在意義・提供価値を維持しながら、時代のニーズに合わせた柔軟な対応を見せています。
トレンド2:統合されたデータ
部門の垣根を取り除き、顧客一人一人のカスタマージャーニーを包括的に把握する必要があり、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を導入・整備することが企業の最優先事項だと二人は言います。リアルタイムのデータ管理や、データ保護への対応を含めCDPの重要性はさらに高まっています。
CDPはデジタルマーケティングの業界ではずっと前から重要性が指摘されていましたが、もはや導入しない手はないという段階に来ているとのこと。
その一方で、一元化されたデータの管理のためには、Cookieの問題など、顧客のデジタルアイデンティティが乗り越えるべき障壁となるだろうと二人は締めくくっています。
トレンド3:AIにサポートされたコンテンツ
すでにAIがコンテンツの最適化をサポートしていることは多くありますが、これからますますAIが作成したコンテンツが広がっていくと二人は主張します。
重要なのは、このトレンドが人から仕事を奪うものではなく、むしろ人とAIでやることをはっきり仕分けしていくものだということです。
人とAIの協力がより良い体験・コンテンツを作り出していくというのはAdobeがAIについて一貫して主張していることでもあります。
Heller氏のPersado社は、刺さるコピーをAIに作成させるというサービスを提供しているので、まさにこのトレンドを先取りした企業といえるでしょう。
トレンド4:デジタル成長曲線を上りはじめた企業
多くの企業が、担当者の選定やシステムの導入といった初期の段階から、統合されたCXM(顧客体験管理)へステップアップしつつあります。
このような状況では、より先進的な企業のベストプラクティス、先例を基にして資金投入を最適化し、ある程度のリスクを受容する姿勢が求められます。リスクを忌み嫌っているうちに、競合から遅れをとってしまうと、今回のような急激な変化が起こった時に対応できなくなると指摘しています。
トレンド5:アジャイルマーケティングの広がり
変化によりスピーディーに、より柔軟に対応するためのアジャイルマーケティングは、「したほうがよい」ものから「しなければいけない」ものへと変化しています。
アジャイルマーケテイングの本質は試行回数を増やすことで、成功の回数も増やすことにあるといいます。つまり、一定の成功確率のもとでは、施策を実行すればするほど成功例も増えるうえに、ノウハウも蓄積されていきます。そうすることで顧客の課題をリアルタイムで解決することができます。
アジャイルマーケティングを取り入れていない企業に対するアドバイスとして、アジャイルマーケティングは考え方であり、手続きやルールが決められている儀礼のようなものではないため、まずは前例を参考にしながらも自ら始めてみることが重要だと述べています。
トレンド6:マーケティングが企業のデジタル・トランスフォーメーションを進める役割を果たす
デジタルトランスフォーメーションには2つの側面があると二人は指摘します。それはすなわち、商用的な側面とオペレーショナルな側面です。顧客エンゲージメントなどが前者にあたり、後者はセッション内では触れられていませんでしたが、顧客には関係しないバックエンド、例えば調達や人事などのオペレーションがあたると思われます。
顧客中心のマーケティングの重要性が叫ばれる中で、商用的な側面のデジタル化をマーケターが進めることで、企業全体のデジタル化が進むことがよくあるとか。CMO(最高マーケティング責任者)がデジタル化推進の役割を与えられる例が負いそうです。マーケティングは企業全体のデジタルトランスフォーメーションという化学変化の触媒(Catalyst)の役割を果たしていくというわけです。
おわりに
今回は2020年そしてそれ以降に影響を与えるビジネストレンドについてのセッションをまとめてみました。
ナラヤンCEOの基調講演が未来を見据えているのに対して、このセッションは今企業が取り組まなければいけない喫緊の課題を提示しており、より現実味があったように感じます。
最後まで目を通していただきありがとうございました。
参照元
https://www.adobe.com/jp/summit/2020/marketing-trends-that-will-impact-business-most-in-2020.html