Tableau 2021.1 新機能紹介
今回の2021.1は前回までの2020.4と異なり、β版がリリースされずに発表された形となりました。今後β版はなくなってしまうのかという不安は残りつつも、早速新機能をキャッチアップしていきたいと思います。
Tableau Desktop / Server / Online 共通
Einstein Discoveryとの連携
2021.1の最大の目玉は「Einstein Discovery と Tableau の連携」です。
今回のアップデートでは主に以下の3点が追加されました。
1. Einstein Discovery の予測/推奨機能 in Tableau(*デモ動画1, *デモ動画2)
2. Einstein Discovery ダッシュボードの拡張機能(デモ動画)
3. Einstein予測値 をTableau計算式で使用(Tableau Desktop/Serverのみ対応)
Tableau × Einstein は実際にデモ動画を見ていただくとより理解が深まるのでオススメです。
*デモ動画1: Einstein Discovery in Tableau Demo (8min, English)
*デモ動画2: Einstein Discovery ステップバイステップセミナー 基礎編 (38分, 日本語)
TableauのCustomer360 Audienceコネクタ
昨年12月に発表されたSalesforceの新製品、Customer 360 Audience とのネイティブ接続に対応しました。Customer 360 Audience (150〜万/月)は、メール・オンライン履歴・Eコマースなど、複数のチーム・デバイス・システムにまたがる様々な顧客データを結合し、マーケティングや営業活動でパーソナライズされたUXを提供するという製品です。
Snowflake空間データのサポート
Snowflakeの空間データを含むテーブルに直接接続できるようになりました。Snowflakeの空間データには、ジオメトリ型のデータを与えるWKT/WKBや、3次元に対応させたEWKT/EWKB、GeoJSONがあります。これらのオブジェクトに含まれるPoint, Polygon, Linestringデータなどを活用することで、Tableauで空間データを可視化することができます。
Web作成時のデバイスデザイナー (Tableau Publicにも対応)
ブラウザで各デバイスに対応するダッシュボードを作成できるようになりました。iPhoneX対応、汎用タブレット対応、大スクリーン対応などエンドユーザーの端末に合わせてデザインすることが可能です。
クイックLOD (Tableau Publicにも対応)
クイックLODとは「メジャーをCtrlキーを押しながらディメンションの上にドラッグ&ドロップするとLOD計算が作成できる」というものです。(デモ動画)
例えば、[金額]というメジャーを[地域]というディメンションにドラッグ&ドロップすると、{FIXED [地域]: AVG([金額])} という計算式が自動で作成されます。
ただ個人的にこちらの機能は正直微妙だなという印象があります。なぜなら実務でLOD計算を使う場合、LODそのものを理解していないと誤った分析につながってしまうからです。「FIXEDが全データに対する集計」「INCLUDEがビュー内のディメンションを考慮する集計」「EXCLUDEがビュー内のディメンションを考慮しない集計」という大まかな違いくらいは最低限おさえておくと良いでしょう。
製品拡張機能ギャラリー (Tableau Publicにも対応)
製品拡張機能ギャラリーは「Tableauの拡張機能がワンクリックで導入できる」というものです。
これまでは一度ブラウザに遷移しダウンロードする必要があったのですが、2021.1からTableau内でダウンロードが完結できるようになりました。これによりViz作成のフローを止めずに簡単に拡張機能を追加することができます。
◆ダッシュボードの[拡張]から追加 (Viz拡張)
◆データソースの[サーバー]から追加 (コネクタ拡張)
◆ブラウザから追加 (Viz拡張 / コネクタ拡張)
KMZ空間ファイルのサポート (Tableau Publicにも対応)
「KMLファイル、及びそれを圧縮したKMZファイル」に直接接続できるようになりました。KMLとは、Google Earth, Google Map など地理データの表示に用いられるファイル形式のことです。
ただKML/KMZファイルはあくまで地理データなので、位置のプロットや2点間の経路の可視化しかできません。Google Earth のようなリッチなビジュアルを求めるのであれば、直接URLを埋め込む方が良いでしょう。
Tableau Desktop
Azure接続機能の強化
Azure SQL Database, Azure Data Lake Gen2のコネクタが新しく追加され、既存のコネクタ(Azure Synapse, Databricks)でAzure ADがサポートされました。これによりAzure関連のデータベース・データウェアハウス・データレイクに直繋ぎできるようになったので、Azure × Tableauの連携が活発化することが予想されます。
Tableau Server / Online 共通
通知エクスペリエンスの統一
共有・コメント・抽出・フローに関する通知がすべて一ヶ所に表示されるようになりました。また設定で Tableauで直接受け取る or メールで通知を受け取る のいずれかを選択することも可能です。すべての通知を一ヶ所で管理できるようになったことで、Tableauを始めたばかりのユーザーにも優しい設計となりました。
「データに聞く(Ask Data)」機能の強化
「データに聞く(Ask Data)」機能のヘルプが充実し、セットアップガイドやオンラインヘルプに簡単にアクセスできるようになりました。また使用状況分析をクリックすると、最も利用されている時期・最も利用するユーザー・最も利用されているフィールドなどをダッシュボードレポート形式で閲覧することができます。2021.1のアップデートでも個人的に好きな機能です。
Web作成機能の向上
ブラウザのWeb作成・Web編集機能で、直接「フィルター・パラメーター・凡例」の書式を設定できるようになりました。これまでパブリッシュした書式を修正するには一度Tableau Desktopに落としこむ必要がありましたが、2021.1からブラウザ上で修正できるようになり、より担当者の負荷が軽減されました。
メトリクスの機能強化
ブラウザからダッシュボードを閲覧するときに[メトリクス]をクリックすると、ダッシュボードを閲覧しながらメトリクスを確認することができます。複雑なダッシュボードの中で重要な値を把握する際に便利です。
Tableau Public
Tableau Public上のWeb作成 (β版)
β版なのでまだ公式にはリリースされていないのですが、個人的にはかなり魅力的な機能だなと感じました。この機能が実現すれば「Tableau Public内でVizを作成・パブリッシュできる」ということになります。(つまりTableauがインストールされていないPCからでも簡単にVizを作成可能)
Tableau Publicという無償のサービスでここまでできるのは凄いですよね。
Tableau Prep
Excelへの書き込み
Tableau Prep 2021.1から結果を「エクセル形式(.xls)」で出力できるようになりました。
これまでPrepで加工したデータは.hyperか.csvでしか保存できなかったのですが、今回から.xlsにも対応し、”エクセル形式でデータが欲しい”という組織のニーズにも応えられるようになりました。
Einstein DiscoveryのML予測値をデータセットへ (coming soon..)
2021年4月にリリースされるTableau Prep Builder 2021.1.3から「Einstein DiscoveryのML予測値をデータセットへの直接書き込み」が可能になります。これにより予測/改善を行うためのキードライバー(影響力の強い変数)を大きなデータセットへ結合できるのです。
またTableau公式ブログによると、2021.2から Tableau Server/Online と Tableau Prep を結合させ「予測値を含むフローの自動化」が実現するとのことでした。AI×BI市場を切り拓く”新生Tableau”はこれからどこまで進化できるのでしょうか。注目必須です。